2014/11/22

「ブラック・スワン」から「都市と都市(チャイナ・ミエベル)」へ

たまには書評というか最近読んだ本の忘備録。

ここ最近はノンフィクション系を読んで来ていたせいか、新しい知識を取り入れるには脳の容量が枯渇している危機的状況でした。だれか容量増やすやり方を教えて下さい。まずは掃除が必要かな。

因に、「まぐれ」以降「ブラックスワン」「ファスト&スロー」「実践行動経済学」と、人の意思決定に関連する本を読んでいました。この分野(認知心理学/行動経済学)はとても興味深く、ビジュアル作りもこういった視点を活かせたら色々な意味で幅が広がるのではないかと思いました。これからも深めていきたい分野です。

あと、この間、一応ビジネスマンらしくせねばと「ゼロ・トゥー・ワン」も読みましたです。はい。彼はリバタリアンであり且つ哲学的な思想を持つビジネスマンで私とは相容れないタイプですが、サーフィンもやっているようで、まぁ共通点もあるじゃないかと勝手に親近感を感じています。勝手に。

この辺りはまた機会があれば書評を書きたいですが、そんなこと言っているうちはきっと実現できないのは自分が良く分かっております・・・

それから、まさに昨晩(マレーシアのホテルにて)読み終えたのですが、久しぶりに小説(SF)に手を出しました。チャイナ・ミエベルの「都市と都市」です。これ、色々な意味で面白かったです。



裏表紙の解説を引用すると、
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ふたつの都市国家<ベジェル>と<ウル・コーマ>は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組合わさった特殊な領土を有していた。
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といった都市のコンセプトがこの物語のSF的世界観を構築しています。さらに二国間に跨がる不可解な殺人事件を主人公の警部補が追う、というミステリーの要素が絡まって展開していきます。

途中(半部くらいかな)までは、そんな都市の在り方を理解するのに手間取っていましたが、徐々に二国間に存在する歴史や暗黙のルールが霧が晴れるようにクリアになってくると、途端にストーリーに引き込まれて行きます。

海辺の断崖絶壁こそ登場しませんが、その警部補がサスペンス劇場的にラストに向かって一気呵成に謎を解いてしまうあたり、若干ミステリーとしては物足りなさを感じますが、「国とは何か」「国境とは何か」「人種とは何か」といった観点に落差のある変化球を投げこまれた感じで相当戸惑いますね。その戸惑いを面白いと感じられるかが分かれ目です。その異なる感覚こそがこの小説の醍醐味と言えるでしょう。

東南アジアの都市では「人種的モザイク状態」を当たり前のように目の当たりにします。人種間に暗黙のルールがあり「見えていても見ないようにする」といったこの本にも出てくる状況が実際に存在しているのは興味深いです。

そういう意味では、ある種の都市論としても捉える事ができ、読み応えのあるストーリーでした。

おすすめです。


2014/11/11

アイデアの循環

前回のエントリーで「アイデアはシェアされると拡散する」という言葉を引用しました。

これは、ストックフォトコンテンツ制作のコミュニティにおいても相当活発な現象だと感じています。

とはいえ、素敵なアイデアがシェアされれば、瞬く間に模倣されてしまうのもまた現実です。この場合、シェア=模倣という構図を連想してしまい、何と無くネガティブな印象が拭えません。アイデアを人に取られてしまう!パクられてしまう!と。

しかし、個人的にはこういった状態はそんなに悪い事だとは考えていません。なぜなら、元のアイデアは、拡散されているうちに多くの人々によって様々な視点が取り入れられ、その姿をどんどん変えて進化してゆくものだと考えているからです。


アイデアがシェアされ拡散される世界はアイデアの生態系のようなものだと思います。自らが投げかけたアイデアが様々なところで拡散されて、いずれは自分にも何らかの形でフィードバックされてくるといった世界観です。
著名な(でなくてもいいけど)作家やアーティスト達も、何かに、誰かに少なからず影響を受けているはずなのですから。

そう。アイデアは循環するのです。


そして、アイデアの生態系にも勿論多様性が必要です。だからこそ、異質な分野から得たインスピレーションを自分なりのアイデアに変換し、発信し続ける事はとても大切なことなのです。


そんな姿勢が、最終的には自分のクリエイティビティを高めることにつながると考えています。