2012/07/22

半端なオーダーメイドの終焉


photo credit: caribb via photo pin cc

ツイッターで時々やりとりさせて頂いているNY在住の @munetakanycさん。NYのビジュアルライセンシングエージェンシーと契約したとのツィートが僕の目に飛び込んできました。

The Licensing Project

彼らが展開しているのは、様々なアーティストの作品のアーカイブから、その価値にあったプロジェクトに作品を貸し出すといったビジネスモデル。すごい作品の数々がアーカイブされています。他の仕事で制作したものもあれば、完全なオリジナルもあるのでしょうか。それぞれの作品の背景を知りたくなります。

このようなレディーメイドは、活用する側の感性こそ試されていると感じました。自分たちの思い通りのビジュアル作らせるということは、出来上がりに対してある程度安心感が得られますが、それは一方では自分たちの予想の範囲内にとどまるリスクもあります。制作する人々が「クライアントニーズを把握する天才達」という優秀過ぎる人々ばかりであれば尚更です。しかし、既に存在しているものに対しては、自分たちの影響は及びません。それがオーダーメイドでは永遠に獲得しきれない部分なのだと思います。クリエイター達の誰にも遮られない羽ばたく様なビジョンと、活用する側の鋭い感覚が一致する瞬間です。レディーメイドにはその良さがあるんです。

日本じゃあまりお目にかからないサービスですが、半端なオーダーメイドが支持されなくなってきたら(もうすぐそこかもね)、そして素晴らしいレディーメイドを使ってもいいんだ、というカルチャーが認められるようになってきたら、そのうち否が応でも必要とされるサービスです。


2012/07/14

クリエイティビティを高める5つの方法


  1. クリエイティビティを求めるのであれば、今すぐに普通の行動をやめなければならない
  2. 脳に流れてくるアイデアの捕獲率をあげる  
  3. 難しい問題に直面したときには、対象に対して心理的、精神的な距離を置く
  4. 自己批判のスイッチを切ること
  5. 朝起きたときにアイデアをメモすること

斬新な発想で、様々な課題を次々に解決していくクリエイティブ集団「IDEO」。この記事は同社躍進の立役者トム・ケリー氏がTEDxで語った要約。特に3番目には、日常的に共感できるポイントが多いなと感じます。

自分自身、ある課題にのめり込みすぎていると、感情的な部分で答えを求めがちになる傾向があります。そんな時、背後にほとんどの面で自分に似てはいるが、『エレガントなイケメン』という点で決定的に異なるもう一人の自分を立たせて見ます。そして彼の視点で考えみるようにすると、スッと冷静になれたり、何が問題なのかに気付いたり、グズグズしていたのにすんなり行動に移れたりする時があります。 まさに対象から精神的に距離を置いている状態といえます。

あと、近い感じとしては、いわゆる三上というやつです。考えている対象そのものには関係ないことに携わっている時にこそ、ふと良いアイデアが浮かんできたりします。僕にとっては三上の中でも馬上にあたるサーフィンをしているときなんかまさにその時。なんだか脳がとても創造的なモードになっている感覚が訪れる瞬間があります。そういう時って、良くも悪くも目の前の対象に集中している状態ではないのかもしれませんが、日頃考えている別の事が、形を変えて途切れ途切れに浮かんでくるんです。惜しむらくはサーフボードにまたがっている時にメモの取れるツールがあったらいいよね。それなりの市場がそこにあると思う!IDカードの様に首から下げる様なタイプのものとか。IDEO社あたりが開発してくれないだろうか。      

まぁ、集中しなさ過ぎでサーフィンが一向に上達しなかったりというマイナス面もありますが・・・  

因みにこの5つの他の項目はと言うと、⑴はあまり意識出来ていません。通勤路線を変えたり、旅に出たりかな?⑵はエバーノートのiPhoneアプリが大活躍中。⑷は是非実践したいです。⑸は早速取り組んでます〜

一度しかない人生。どうせなら、創造的に生きていきたいよね。

(参考本)
ちょっと前の本ですが、面白いです。


あと、勝手に慕っている外山先生の本。びっくりするほど共通する内容が書かれています。  



2012/07/08

コンテンツ制作支援サービス





つい先日電子出版EXPOも熱気の内に閉幕を迎えましたが、何かとにぎやかになってきたEブック界隈に関する記事です。文中に書かれている「アドバンス」という仕組みが気になりましたので考えをまとめておこうかと。

まず、「アドバンス」とは何か、どういう意味で使われているのか、記事本文から引用させて頂きます。
一方で、日本にはないシステムに「アドバンス」がある。これは印税の前払い金で、企画が通ったり、原稿にゴーサインが出た時点で一部が支払われるシステムだ。前払い金と言っても、もしその本が出版社が見込んだほど売れなくても、著者は返さなくていいお金だ。

出版業界では「プロの物書きを育てる仕組み」と言っていますし、一方アマゾンなどの立場からすれば、一部の作家だけを囲い込むような非効率なシステムと映る様です。しかし、これは様々なジャンルに横展開できる考え方だと思いました。事実僕が携わるストックフォト業界においても従来から存在している考え方ではあります。

インターネットの普及は、以前に比べて個人のクリエイティビティを圧倒的に世に出し易くしました。一億総クリエイター時代です。現実的には一億どころじゃないですけどこの流れはさらに加速するでしょう。個人の能力を活かす面白いウェブサービスもどんどん出てくるはずです。しかし、それらのほとんどは「発信」の側面が主体となっています。無限といっても過言ではない数のコンテンツが世の中に溢れてくることになるのです。かたやクリエイティビティを求めている者にとっては、広大な砂浜にしゃがんで、ピカリと光る一粒の砂を探すようなものです。果たしてこれは理想的な姿なのでしょうか?・・・・否!

この様な状況の中では、クリエイター同士は広大な砂浜の中で競争しなくてはならないのです。光り輝く一粒の砂になる為には、最も重要な「アイデア」は勿論ですが、「制作する仕組み」の確立がより重要になってくると考えられます。僕は、そうったクリエイターの悩みを解決するサービスに注目していますし、そんな事を手がけたいという欲求を数年前から持っていました。当時、ビジネスプランを携えて企業や投資家にプレゼンしに行った事もありましたが、"そんなもの金を払って誰が使うんだ?”という反論にロジカルに対応できませんでした。今になってそのビジネスプランを振返ってみると、自身が携わるマーケット(=市場規模が小さい)周辺にしか頭が回っていなかったのが良くなかったのかな。しかし、出版市場なども含め、コンテンツ制作者側のマーケットが砂浜化していくこれからの状況は、ある意味対象の規模が拡大していると考えても良さそうです。資金の提供、売れるコンテンツのプロデュース、制作の助けになる様々な関連情報データベースなど。これらのクリエイター向け制作支援サービスへのニーズの高まりは顕在化してきているのではないでしょうか。「アイデアの出し方」でさえもコンサルニーズが発生するでしょう。

なので、出版業界における「アドバンス」という"資金提供”の仕組みは、クリエイターの制作支援向けのキラーコンテンツになりえる要素満載です。思うに、提供側が従来の様な"投資"感覚でなく、良質なクリエイターを引きつける為の"サービス"と捉えられるような仕組みに出来るかどうかがポイントなのですけど。

例えば「アマゾンがアドバンスしている新人作家一覧」とかがあったら、僕ならクリックしてしまうでしょうね。アマゾンというサービスに信頼性があればある程、少なくとも光る砂の一群かもしれないという見当がつけられます。

個人のクリエイティビティを取り扱うウェブサービスの発達とともに、良質なコンテンツを産み出す為のクリエイター支援周辺の動向には引き続き注目していこうと思います。