2015/04/25

古典系本009: 復讐の掟

「種の起源」と「ファウスト」を読み始めて随分経つのですが、両者ともなかなか手ごわい相手ということで手こずっていまして、現在進捗率70%といったところでしょうか。

しかし、読書というのは苦しみだけでは続かないもの。たまにはエンターテインメント的なものを入れて気分転換したくなります。

というわけで、先日たまたまケーブルTVで見た「野獣死すべし(仲代達矢版)」に感動したこともあり、人生初の大藪春彦として「復讐の掟」を手に取ってみました。この作家自体は日本のハードボイルドを盛り上げてきた方で、その分野では元祖=古典系といっても良いのではないでしょうか。


復讐の掟 (双葉文庫)
で、こちらの本。

その昔、ヤクザな世界にいて何人も殺してきた主人公。数年後の今ではきっぱりと足を洗い、家族を持って地道に生きています。しかし、そこに昔の仲間が助けを求めにやってきて再びその世界に嵌っていく、という設定です。まぁ、ありがちな話ではあります。

まず、あらゆる面で表現がとてもストレートだなぁと感じました。どうストレートかというと子供にはちょっと勧めづらいレベルとでも言っておきましょうか。

直喩を多用しており、場面場面を直接的にイメージできます。人物の心情もある意味わかりやすいです。同じハードボイルドでも比喩の秀逸な(考えさせる)レイモンドチャンドラーなんかとは全然雰囲気の違う作品だと思いました。

ともかく、世の中への不満というか反発というか、そんなものを政治家個人や警察組織に対する激しい攻撃で表現しているように思いました。

展開はとてもシンプルで、いやシンプルすぎて、現代ではあまり受け入れられる作品ではないかもなと思いますが、逆にその激しくもストレートな表現が引き立つ結果となっている様です。

そんな印象の残る作品でした。

「野獣死すべき」「汚れた英雄」「蘇る金狼」などを読んでみるべきなのでしょうね。

ちなみにこの作品、二日間くらいで軽く読めました。