2015/02/26

今日は通院日

持病の為、定期的に通院しているのですが、今日はまさにその日。

この日のために出張スケジュールを調整しているので、関係各方面には色々と迷惑をかけています。

という微妙な心の負担も感じつつ病院へ向かっております。

さて、先日ウチの会社のシンガポール法人に期待の新人が入社してきました。

彼女の出社初日にも関わらず、現地のメンバーと共に飲んだのだけど、良い雰囲気の宴であったなぁと思い返しています。

これからますます楽しみです。

さぁて、気を取り直して一丁頑張ってきますか。


2015/02/15

古典系本 005 利己的な遺伝子

長丁場を耐え抜く必要のある手強い本だった。

読みかけて2、3日放っておくと、前後のコンテクストが繋がらなくなってしまい、しばらく前から読み返す羽目になる。必然的に読み終えるのに時間がかかってしまった。

しかし、この本を読んで本当に良かったと思う。

1970年代に書かれた本書であるが、ヒトゲノムが解読された今もなおこの分野では読まれ続けているとの事。

内容についてまだきちんと理解しているとは言えないが、ともかく頭に叩き込んでおかなければならないのは遺伝子の存在目的だ。

それは、自己の遺伝子を遺伝子プール内に増やそうとする「自己複製子」であるということ。これが全ての基本になっている。

そして、生物の体(個体)は遺伝子が自らの複製を繰り返す為に必要な器であり、その為の遺伝子の生存機械にすぎないのだ、という考え方に強い衝撃を受けた。

それは、私達人間だって例外ではない。私達の生きる究極の目的は、脈々と受け継いできた遺伝子の複製作業を支援し、更に次世代に繋げる役割を担うことになるのだ。

思考する私たち人間にとっては、直感的には受け入れづらい表現ではないだろうか。

著者のリチャード・ドーキンスは、生物学者であり、ダーウィンの熱烈な支持者でもある訳だけど、その各理論は哲学的な問いが発端になることが多い。

何故生物には"性"や"寿命"というものが存在するのか、などの問が遺伝子の働きを軸に展開されていく。

私にとっては当たり前すぎて深く考えたことのないテーマだった。問う事、疑問を持つ事の大事さを痛感する。

ともかく、ページをめくる度に知的興奮がマックスに刺激される。こんな読書体験はなかなか得られるものではない。

一度読んでみたところで、今のレベルではところどころ誤読があるだろうなと自分でも感じている。本書を読みこなすには、生物学や遺伝子についての基本的な知識がもっと必要だと思った。

とりもなおさずダーウィンの「種の起源〈上〉 (光文社古典新訳文庫) 」は必読かな。

気になった箇所には、例によってポストイットを大量に貼ってあるので、いずれまた読み返したい。




次は、フェルナンブローデルの『歴史入門 (中公文庫) 』とオースティンの『自負と偏見 (新潮文庫) 』を並行して読んでいる。

因みに、サマセットモームが示した世界の十大小説は必ず読破しようと思ってる。

2015/02/07

映画003〜006

う台北、マニラ、北京往復の機内映画から。

父の葬式で久々に集ったユダヤ人家族の交々。
ユダヤ人には、葬式後に家族で7日間座って過ごしながら喪に服す「Shiva」という習慣があるらしいのだが、その間に互いの近況が徐々に浮き彫りになり、それらに対する対処の仕方が面白い。

元は一緒に暮らしていたのに、性格も考え方も皆んなそれぞれだ。

他人の家族って一見どこも同じに見えて、ウチだけが特殊と思いがちなんだけど、どんな家族であれそれぞれの事情を抱えて、それぞれの人生を生きてる。そんなところに共感した。

監督は鬼才デビッドフィンチャー。さすがだ。妻の失踪に絡んで旦那が疑われるというコンセプト。

ストーリーというよりも緻密な展開に引き込まれてほんとうにスリリングな時間を過ごせた。こういう時間をくれる映画は他のことを忘れさせてくれるので好きだ。

そのアイデアの主体となっているのは妻の日記と現在がオーバーラップする進行形態。これはミステリアスさを深めるし、テンポのスピードに緩急をつけて調整することによってスリリングさの増幅に効果を与える。なかなか良い手法だね。

それにしても、こんな結婚の形は稀だし絶対嫌だ(笑

オランダ映画。
税金を滞納している中古車修理工場の立て直しに、スポンサー付けてフルマラソン走る事で窮地を脱しようぜ!というコンセプト。

良く比喩として人生をマラソンに例えることがあるが、それとはちょっと意味が異なる。

工場の従業員は、皆マラソンど素人なんだけど、ダメ社長を中心に結束してゆくというお決まりではあるがその過程が面白いしその結束力(友情?)に何だかんだと惹かれる。やはり私自身は単純なんだと思う。

また、社員それぞれの事情の描かれ方が上手くて、それはそれで嫌いじゃないタイプの映画。

但し、そもそも「この工場自体の経営を改革しないと、マラソンのスポンサー獲得なんて根本的な解決になってないし、それはその場しのぎだよ」などの現実的なツッコミをしてはいけない。

娘と話を合わせようという考えだったったのだけど、キャラクターの興味深さについつい見入ってしまった。

それにしても、強烈な性善説を軸にしたストーリーだった。悪役側にさえも一定の愛を見つけられる点で単純な勧進帳悪ではないが、今時の子供に刺さるかな?まぁ、いちいち映画に批判をくれても仕方がない。

それはさて置き、癒されるロボットって方向はアリだと思った。やはり人間は柔らかく丸みを帯びたものに癒しを感じる生き物らしい。

あと、科学オタクって格好いい。生まれ変わったら軽薄なビジネスマンよりも科学やクリエイティブ方面に限りある人生の資源を費やしたい。

映画の中では逆だが、技術やアイデアを金にするのは優秀なビジネスマンに任せるのだ。単に食い物にされてはならない。クリエイターや科学者側が主体的にならならないと。法務的なアドバイザーを科学者側につける必要がある。

という意味でこれからは、クリエイティブに秀でた者がビジネスに弱く、虐げられるという図式の転換が望まれる。

2015/02/01

古典系読み 004: ゼロの焦点

仕事でフィリピンのマニラに来ている。
今朝は、あまりにも悲惨なニュースとともに始まった1日であった。

先の飛行機事故もそうだけど、海外で仕事をする上でもある種のリスクが顕在化してきているのを微妙に感じる。この状況を、責任ある立場としてどう考え、対処していったら良いのだろうか・・・・

今のところ、社内からはそういった発言は無いようだが、私一人が悶々と考えていても意味がないので何かしら問いかけてゆく必要があるだろう。

いずれにしても、ご本人のご冥福と、ご家族の皆様にお悔やみを申し上げます。

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さて、前回も書いたけど、今は「利己的な遺伝子」を読んでいる。しかし、量的にも理解度的にも自分にはかなり手強い内容ということもあって、なかなか苦戦している。何といってもある一段落すっぽりと何度も読み返さないと何を言っているのか理解出来ない箇所も沢山ある。トホホ、、、

というわけで、箸休め的に手に取った松本清張の「ゼロの焦点」を先に読み終えてしまった。


利己的な・・・のようなサイエンス系ノンフィクションに比べると、小説という形態の読み物は気持ちが良いくらい読みやすい!

して、本書は日本の推理小説の大家である著者の中でも代表作の部類に入る作品らしい。

なのでこの分野では「古典」と評価してもいいだろうと勝手に判断した。

粗筋をネタバレしない程度に纏めるとすれば、見合結婚した男(鵜原健一)が、その後赴任先の金沢から突然失踪する。その謎を妻である禎子が追ううちに、周囲の関係する人物が次々に殺されていき、更に謎が深まってゆくのだ。しかし、徐々に浮かび上がってくる夫のや事件に関係する人々にまつわる過去が解決の糸口となる、といったところか。その過去の地点をゼロと位置付けているのかな。

感想としては、正直にいうとあまり引き込まれなかった。
複雑に伏線を張り巡らせつつ速いテンポでの進行が読み手を引き込ませるものが多い、現代の優れた推理小説群に比べれば、本作品はかなりスローテンポであり、全体としても素朴な構成だなぁと感じた。

まぁ、いわゆる二転三転が無いことも無いが、その死は突然やってきて突然解決されるといった感じで、私の上を事件が冷静に過ぎていってしまう感は否めない・・・

そして、ミステリー小説で特に重要な要素として「次の展開へ移るきっかけをいかにつくるか」だと勝手に理論立てているのだけど、そこをあまりにも偶然に頼りすぎていて、若干の物足りなさ?を感じてしまった。

例えば、禎子が偶然派手な女(後のキーパソン)を駅の人ごみのなかで見かけるとか、偶然入った喫茶店で隣に座っていた男たちの話す内容からある種の"重要な気づき"を得る、、、といった具合だ。

また、絡まった謎を解くのはほぼ一貫して妻の鵜原禎子の心理内での推理によって解決される。この点も微妙だ。

彼女があることを考え始めると、次から次へと核心に近づいていける思考展開力は、単なる主人を亡くした未亡人ではなく、この女性相当の切れ者だ。CSIの分析官になれるって!

そんな彼女が何故凡庸な日々を送っているのか。

或いは、当時はそんな能力がありながらも表に出られない女性達が多かったのだよ、という深遠なメッセージが隠されているのであればそれはそれで深いが、ま、それは考えすぎ。

とはいえ、舞台の背景は終戦後の混乱がまだまだ色濃くのこる昭和30年代。

この時代にこそ起こり得る題材が中心になっている作品であるので、そのあたりの私の認識不足がストーリーに入っていけない要因もあるのかなと思ったり。

ともかく、幾多の推理小説家が読んで影響されてきたであろう松本清張作品だが、個人的には積極的に読んでいきたいと思えるタイプではなさそうだ。