2012/07/08

コンテンツ制作支援サービス





つい先日電子出版EXPOも熱気の内に閉幕を迎えましたが、何かとにぎやかになってきたEブック界隈に関する記事です。文中に書かれている「アドバンス」という仕組みが気になりましたので考えをまとめておこうかと。

まず、「アドバンス」とは何か、どういう意味で使われているのか、記事本文から引用させて頂きます。
一方で、日本にはないシステムに「アドバンス」がある。これは印税の前払い金で、企画が通ったり、原稿にゴーサインが出た時点で一部が支払われるシステムだ。前払い金と言っても、もしその本が出版社が見込んだほど売れなくても、著者は返さなくていいお金だ。

出版業界では「プロの物書きを育てる仕組み」と言っていますし、一方アマゾンなどの立場からすれば、一部の作家だけを囲い込むような非効率なシステムと映る様です。しかし、これは様々なジャンルに横展開できる考え方だと思いました。事実僕が携わるストックフォト業界においても従来から存在している考え方ではあります。

インターネットの普及は、以前に比べて個人のクリエイティビティを圧倒的に世に出し易くしました。一億総クリエイター時代です。現実的には一億どころじゃないですけどこの流れはさらに加速するでしょう。個人の能力を活かす面白いウェブサービスもどんどん出てくるはずです。しかし、それらのほとんどは「発信」の側面が主体となっています。無限といっても過言ではない数のコンテンツが世の中に溢れてくることになるのです。かたやクリエイティビティを求めている者にとっては、広大な砂浜にしゃがんで、ピカリと光る一粒の砂を探すようなものです。果たしてこれは理想的な姿なのでしょうか?・・・・否!

この様な状況の中では、クリエイター同士は広大な砂浜の中で競争しなくてはならないのです。光り輝く一粒の砂になる為には、最も重要な「アイデア」は勿論ですが、「制作する仕組み」の確立がより重要になってくると考えられます。僕は、そうったクリエイターの悩みを解決するサービスに注目していますし、そんな事を手がけたいという欲求を数年前から持っていました。当時、ビジネスプランを携えて企業や投資家にプレゼンしに行った事もありましたが、"そんなもの金を払って誰が使うんだ?”という反論にロジカルに対応できませんでした。今になってそのビジネスプランを振返ってみると、自身が携わるマーケット(=市場規模が小さい)周辺にしか頭が回っていなかったのが良くなかったのかな。しかし、出版市場なども含め、コンテンツ制作者側のマーケットが砂浜化していくこれからの状況は、ある意味対象の規模が拡大していると考えても良さそうです。資金の提供、売れるコンテンツのプロデュース、制作の助けになる様々な関連情報データベースなど。これらのクリエイター向け制作支援サービスへのニーズの高まりは顕在化してきているのではないでしょうか。「アイデアの出し方」でさえもコンサルニーズが発生するでしょう。

なので、出版業界における「アドバンス」という"資金提供”の仕組みは、クリエイターの制作支援向けのキラーコンテンツになりえる要素満載です。思うに、提供側が従来の様な"投資"感覚でなく、良質なクリエイターを引きつける為の"サービス"と捉えられるような仕組みに出来るかどうかがポイントなのですけど。

例えば「アマゾンがアドバンスしている新人作家一覧」とかがあったら、僕ならクリックしてしまうでしょうね。アマゾンというサービスに信頼性があればある程、少なくとも光る砂の一群かもしれないという見当がつけられます。

個人のクリエイティビティを取り扱うウェブサービスの発達とともに、良質なコンテンツを産み出す為のクリエイター支援周辺の動向には引き続き注目していこうと思います。

0 件のコメント: