2013/07/03

日系外食企業が日本ファンを増やしている


 こちらシンガポールの街を徘徊していると、否が応でも日本の外食企業の勢いを感じることになる。各々の駅に併設されているショッピングモールには、他のチャイニーズ系に比べるとやや控えめな佇まいの日本食レストランが必ずと言って良い程存在している。更に「Japanese Resutaurant Comming Soon」という類のサインが内装工事中の外壁パネルに施されている物件を見かけることもしばしばだ。

 この勢いは現実を見ないことにはなかなか伝わらないのではないだろうか。経済発展の果実を狙って多くの日本企業がアジアに参入しているという事は、日本のメディアを通して知識としてはあったものの、ここまでの「ラッシュ感」とは思わなかった。こちらに来てみて実際に体感したことで、さしずめ記憶としての知識がリアル知に変換された感じだ。本当にこの地域は経済的に成長しているのだ。

 それらの店を覗いてみるとどこも概ね繁盛しているように見える。入っているお客さんは現地の人々が大半を占めている。彼らが快活にテンポ良くしゃべっている中国語を耳にすると、何故かこちらまで景気が良い雰囲気になってくる。言葉のテンポって大事だなとも思う。

 そもそも飲食店は地元の人々に支持されてこその商売。その様な視点でアジアに進出している日系の店の繁盛振りを考えてみると、そこには日本でのあるがままの姿を押し付けるのではなく、現地の人々の目線を意識しつつ、日本の良さも決して失わない程度の絶妙な現地化(ローカライズ)が施されているのではと想像している。それは何も味などのコアな部分の変更ではなく、客へのちょっとした対応、メニュー構成、店舗づくりなどの部分においても詳細に考えられているはずだ。それらは日本の店舗と比較してみると見えてくるかもしれない。こういった点は私たちのビジネスにおいても大いに参考になるのでもう少し観察をすすめていこうと思っている。

 そして、そんな日本食を美味しそうに食している人々を眺めていると、彼らの日本食への共感が、延いては日本の文化や日本的サービスを受け入れる素地の拡大につながっているように思えてならない。それは、同じアジア市場で頑張っている日本人としても光栄なことであるし、何より日本と東南アジア市場との親和性が高まるようで、この地域に対する期待感も私の中で同時に高まってくるのを感じるのである。

 東南アジア市場は、このように現地の人々の胃袋をがっちり掴んでいる逞しい日本の外食企業が道を開拓してくれている。私達はその後に続く存在として更に道を拡げ、そして先にも延ばせるような役割があるのかもしれない。私達の事業活動を通して現地の人々にも富をシェアし、そしてまた日本食を食してもらえるという循環が作れたら本当に素晴らしいと思う。

 ウェブサービスの成功ポイントとして、コミュニティやサポーター、ファンを作る事が重要だと言われているが、それは”国”という単位についても同じ事が言える。そういう意味で、日本企業が「日本ならでは」を武器に海外で成功するポイントの一つとして、私は「日本ファンを増やす活動」をあげたいと思う。

 自社サービスだけを一生懸命売り込むだけではなく、「日本という国のファン作り」をしているという意識での振る舞いが、結果的にその国において自分たちのサービスが浸透する為の基礎づくりに繋がってゆくのではないだろうか。それは、私達一人一人の行動にかかっていると思う。

さぁ、現地の友人をどんどん日本食レストランに連れ出そう!

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