2015/02/15

古典系本 005 利己的な遺伝子

長丁場を耐え抜く必要のある手強い本だった。

読みかけて2、3日放っておくと、前後のコンテクストが繋がらなくなってしまい、しばらく前から読み返す羽目になる。必然的に読み終えるのに時間がかかってしまった。

しかし、この本を読んで本当に良かったと思う。

1970年代に書かれた本書であるが、ヒトゲノムが解読された今もなおこの分野では読まれ続けているとの事。

内容についてまだきちんと理解しているとは言えないが、ともかく頭に叩き込んでおかなければならないのは遺伝子の存在目的だ。

それは、自己の遺伝子を遺伝子プール内に増やそうとする「自己複製子」であるということ。これが全ての基本になっている。

そして、生物の体(個体)は遺伝子が自らの複製を繰り返す為に必要な器であり、その為の遺伝子の生存機械にすぎないのだ、という考え方に強い衝撃を受けた。

それは、私達人間だって例外ではない。私達の生きる究極の目的は、脈々と受け継いできた遺伝子の複製作業を支援し、更に次世代に繋げる役割を担うことになるのだ。

思考する私たち人間にとっては、直感的には受け入れづらい表現ではないだろうか。

著者のリチャード・ドーキンスは、生物学者であり、ダーウィンの熱烈な支持者でもある訳だけど、その各理論は哲学的な問いが発端になることが多い。

何故生物には"性"や"寿命"というものが存在するのか、などの問が遺伝子の働きを軸に展開されていく。

私にとっては当たり前すぎて深く考えたことのないテーマだった。問う事、疑問を持つ事の大事さを痛感する。

ともかく、ページをめくる度に知的興奮がマックスに刺激される。こんな読書体験はなかなか得られるものではない。

一度読んでみたところで、今のレベルではところどころ誤読があるだろうなと自分でも感じている。本書を読みこなすには、生物学や遺伝子についての基本的な知識がもっと必要だと思った。

とりもなおさずダーウィンの「種の起源〈上〉 (光文社古典新訳文庫) 」は必読かな。

気になった箇所には、例によってポストイットを大量に貼ってあるので、いずれまた読み返したい。




次は、フェルナンブローデルの『歴史入門 (中公文庫) 』とオースティンの『自負と偏見 (新潮文庫) 』を並行して読んでいる。

因みに、サマセットモームが示した世界の十大小説は必ず読破しようと思ってる。

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