2012/06/15

サッカーという代理戦争


photo credit: Hamed Saber via photo pin cc

ユーロ2012の真っ只中のヨーロッパ。老若男女さぞかし盛り上がっていることでしょう。

私はと言えば、先日のロンドン出張でチャンピオンズリーグを本場で目の当たりにしてからというもの、急速にヨーロッパサッカーが気になり出した、いわばぽっと出でございます。これから嵌るかもしれませんし、このままフェードアウトしてしまうかもしれません。

しかしながら、今ここに、新たにヨーロッパサッカーファンが生まれそうなめでたい状況などお構いなく、彼の地では毎日毎日熱戦が繰り広げられていて、ヨーロッパ各国の皆さんのボルテージは常時レッドゾーンに突っこまされているご様子。特に、先日のロシアVSポーランド戦。ファン同士の場外乱闘は凄まじかったですね。ガタイのいい短髪の男同士のどつき合いは、テレビの画面を通して恐怖がずしりと伝わって来て、リアルな衝撃を首筋のあたりに覚えたのであります。何でも17世紀初頭のロシア・ポーランド戦争以来の因縁みたいな話もちらほら聞こえてきて、どれだけの年月根に持っているんだよ、と試合よりもそちらの方に気を取られてしまいました。  

しかし、ヨーロッパでは、陸続きの国同士が争ってきた時代が永く続き、僕ら島国の日本人にはなかなか肌で感じる事ができない緊迫した何かが、彼らの血の中に脈々と続いているのかもしれません。そう考えると、サッカーの歴史はそのままヨーロッパの争いの歴史とだぶらせても無理な話ではないです。

それにしても、サッカー以外にこんなにもナショナリズムを剥き出しにして応援するスポーツが他にありますか?少なくとも私は知りません。野球?なんだか子供のようなものですね。体が触れる激しさという点では、ラグビー?それもフーリガンを生む程の話はあまり聞きません。世界的普及度からみてもサッカー以外に思いつかないのが現状です。  

ロンドン滞在中には、EUでの首脳会議を中断してまで、プレミアリーグの決勝戦を首脳達が観戦していた様子が報道されていました。特にドイツとイギリスの両トップが仲良くTVに釘付けになっている写真は印象的でした。この時ばかりはオバマさんも後方で遠慮がちにしていました。恐らくギリシャとか深刻な問題を協議していたでしょうにw そんな話よりもサッカーの方が優先度が上昇した瞬間でした。

しかし、サッカーって実は人間の『争う本能』のガス抜き効果みたいなものがあって、ファン同士のいざこざはあるものの、もっと大きな意味では、国々の平和的均衡に貢献している重要な役割を担っていると考えられます。まさに代理戦争であり、形を変えた疑似的な国取り合戦なのでしょうねぇ。

面白いのは、当の代表選手達は普段敵国のクラブチームでプレーして稼いでいたりすること。「フォアザチーム」とか言ってね。勿論、それはそれ、と選手自身もファンも当然の事と受け入れています。贔屓のチームに敵国の代表が加入して活躍してくれれば、惜しみなく賞賛を送ります。だから本物の戦争には発展しえない仕組みになっているのかもしれませんね。

実際にマリウシュ・ヨプのような選手もいる訳で。 

これからは戦う国同士の歴史的背景なんかも頭にいれて観戦するのもいいなぁ。サッカーにはプレーだけではない奥深いものを感じます。面白くなってきましたよ!

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