2012/09/28

多様なパイプ作り




米国の前大統領は、世界でも未だにその存在感は光り輝く彗星の様に強烈です。

クリントン・グローバル・イニシアティブ(CGI)という団体を設立し精力的に活動しています。(当サイトのabout us から抜粋:ビル·クリントン大統領によって2005年に設立され、CGIは世界で最も緊急の課題への解決策を作り出すグローバルリーダーのコミュニティを開催しています)


つい先日も反米に傾きつつあるアラブの超大国エジプトのモルシ大統領が、この団体のイベントに出席し英語でスピーチをしました。報道によるとこれは出席している多くの米国人に親密さをアピールすることに効果をもたらしたようです。(この大統領は普段は英語を使わないそうですね)先の国連では西欧諸国を強烈に非難する演説をしたモルシ大統領ですが、彼らにとっても表向きは米国と対立しているものの、関係維持の為にも別のルートとしてCGIを利用しているものと思われます。この組織以外にもパイプはありそうですよね。そういう連想をさせる米国の懐の深さは底知れないです。

この団体設立の真の背景とか気になるところですが、今日書きたいと思った事はそういったことではなく、このような活動が米国の外交ルートの多様化につながっているのは間違いという点です。時の政権がどういう方針であれ、あらゆる状況毎に対応できる組織が常に存在していて、各国、各勢力とのパイプを切らさないような活動を脈々と行っているのだと、このCGIなどの存在が裏付けてくれます。

大事なのは、平時においては、無駄な組織/活動だと思えてしまうものでも、あらゆるシナリオに沿って、万が一の非常時に備えてしっかりと準備しておく事ができるかどうか、なのですね。そしてそういった活動のできる"余裕"の確保が何はともあれ重要です。

翻って日本はどうなのでしょう。私が既存の報道から得ている情報だけを元に考察するとすれば、この国の外交には多様性が足りない気がして仕方がありません。パイプも細いし、何より長期的な継続性がなさそう。政権というか政治における主流派が足の引っ張り合いでコロコロ変わってしまうので、そもそも継続できる方針を持てない状況にないのではと推察します。最近の中国などは、実は色々と話をしたいのに日本側に窓口がなくて困っている印象すら感じます。与党や野党がどうであれ、シンクタンクやCGIの様な組織が脈々と各国とのパイプを絶やさないようにしていく必要があるはずです。多分そうのはずですが、それらの存在を私が知らないだけでしょう。しかし、実際はそれなりにやってはいるのだとすればそれはそれで問題です。なぜなら、結論として「肝心な時にその組織は機能していない」と、証明されてしまっているからです。少なくとも今のところは。

ビジネス面でもそうですね。一辺倒ではない柔軟かつ多様なパイプの構築は非常に重要なんだなと改めて考えさせられました。一本しかないパイプを外されたら大変です。私なんかはついつい身内だけで固まってしまう習性が強いので(冬の朝に起き抜けられない布団の中のように、それはそれは居心地がいいですからね)、より意識する必要があるのです。今回はクリントンさんに教わりました。


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