2012/04/11

ラベリング理論:ストックフォトに取り組む事との関連



photo credit: drp via photopin cc

ラベリング理論とは、社会学者のハワード・ベッカーが著書「アウトサイダーズ:ラベリング理論とは何か」で提唱した、

「社会集団は、これを犯せば逸脱となるような規則をもうけ、それを特定の人々に適用し、彼らにアウトサイダーのラベルを貼ることによって、逸脱を生みだすのである。」

という論が発展して成り立ってきたものらしいです。

この過程を学ぶことができれば、様々な先入観によって誤解や、異なった印象をもたれたりする要因の解決策として利用し、「逸脱」とレッテルを張られた状態を改善できるツールになりはしないかと、思いました。

例えば、僕は仕事で「ストックフォト」という業界に携わっています。しかし、主要なコンテンツが「写真」にもかかわらず、特に欧米に比べて日本特有の現象として、プロのフォトグラファーの関与が非常に少ないと言われています。理由として「それって売れないカメラマンが取り組むものさ」という表現のされ方をされた事がありますし、実際に広告などで活躍されている方で、ストックフォトに取り組んでいる方は全体的な母数に比してかなり少ないのではないでしょうか。また取り組んでいたとしても本名ではなく「ニックネーム」で活動されたりしています。こういった現象についてある外資系の同業者さんは、「あーら、欧米のカルチャー逆よ。だって自分の発想が売れるんだもの。すごくいじゃない」というような意味の事をおっしゃっていました(若干デフォルメ気味)。まさに日本のストックフォト業界は「負のラベル」を貼られた感じですね。

アサインメントという撮影の依頼仕事中心に考えれば、確かにそういう一面もあるかもしれませんが、現実的には、インターネットとデジタル写真の発達・普及にともなって、ストックフォトというビジネスは、徐々にフォトグラファーの主要な収入源のひとつとして無視出来ない存在になってきているのです。そして、ストックフォト収入は「不労所得」となり結果として自由な時間が手に入るのです。例えば、若いうちにしっかりストックフォトに取り組んでおけば、むしろ、自分の判断で仕事をこなせるようになれますし、創作活動にだって多くの時間を割けます・・・という、理想的なフォトグラファーになることだって不可能ではありません。むしろ新しいタイプです。結果、収入とクリエイティブの双方が両輪のように相乗効果を産んでくることになるでしょう。

僕はこういった点をしっかり啓蒙して、業界に貼られた「負のラベル」をはがしていきたいのです。業界各社さんも長年に渡りPRにも取り組んでいますが、なかなか効果を発揮していないようです。また、例えば話題作り的に有名フォトグラファーなどを起用して「ストックフォトってクールだお」とかなんとか言わしめたとしても、それは一過性のものでしかないでしょう。そうい意味でも、まずどうやってこういったラベルが貼られたのかの要因を分析し、その過程の逆のプロセスを踏んでいく施策を考えたいですね。

ストックフォトは、プロのフォトグラファーにとって収入源の一つの選択肢に入れていいんですよ、という啓蒙活動をこれからも積極的に展開していきたいと考えています。

負のラベル剥がし伝道師!としてがんばっていきます。

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