2015/07/06

#古典系本0013: 詩学・アリストテレス

この本は「詩学」と名がついていますが、小説・映画・ドラマは勿論、広告やビジュアルコンテンツの表現方法の基本が盛り込まれています。

私の頭では1回では理解しきれなかったので直ぐに再読しました。

為になった点は沢山あるのですが、仕事(ストックフォトコンテンツ分野)に絡めて私なりに頭に入れておきていポイントを2つに絞りました。

まずは詩作の起源について
(本文引用)
一般に二つの原因が詩作を生み、そかもその原因のいずれかが人間の本性に根ざしているように思われる。
(1)まず、再現(模倣)することは、子供の頃から人間にそなわった自然な傾向である。しかも人間は、もっとも再現を好み再現によって最初にものを学ぶという点で、他の動物と異なる。
(2)つぎに、全ての者が再現されたものをよろこぶことも、人間にそなわった自然な傾向である。このことは経験によって証明される。なぜならわたしたちは、もっとも下等な動物や人間の死体の形状のように、その実物を見るものは苦痛であっても、それらを極めて正確に描いた絵であれば、これをみるのをよろこぶからである。
もうこの点だけでもこの本を読んだ価値はあるなと思っています。

小説や映画等は行為の再現で成り立っています。

そして、飛躍かもしれませんが、広告やストックフォトコンテンツも広義ではこの範疇に入れても構わないと考えています。

特に私が心血注いでいるストックフォトの人物イメージにおいて、この本は正にその目的を言語化してくれています。つまり、人々を喜ばせる(魅了する)ビジュアルというのは、人間の行為や彼らの人生の再現の中にあるのですね。

「行為の再現」
この言葉は絶対に忘れないようにしたいです。

そして、最終的にはどう再現するのかがポイントになってきます。その方法、構造、技術論についても本文では言及されていますが、そんな中で2つ目にあげたいのはとてもシンプルな一節。

それは、詩作には「筋」が一番重要でそれ以外は場面であると。そしてその筋自体は非常に短くまとまったものでなくてなければならない、と書かれています。

これは各場面をおろそかにしていいというのではなく、先ずは筋があって、その展開にフィットした場面が繋がれて初めて一つの作品ができるのだと言い換えられます。

ストックフォトクリエイティブに言い換えるなら、表現したいテーマ=筋は何かをしっかり定め、表現の手段としての演出=場面を添えていく。過剰な演出が先にきてしまうと本末転倒なプロジェクトにもなりかねません。

この辺りはイマイマでも肝に命じなければならない観点です。

という本書から肝に命じたい2つのポイントでした。感想というよりも備忘録ですね。

ともかくこの時代にこれだけのことを既に看破していたとは、アリストテレスとは一体どんな人物だったのでしょうか。。。

折に触れ読み返したい作品です。







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